日本農学会

日本農学会事務局

日本農学会会長ご挨拶

日本農学会は会員学協会の連合協力により、農学およびその技術の進歩発達に貢献することを目的にして関係専門学協会を会員とする連合体として設立されました。

昭和4年(1929)11月に設立総会が開催され、昭和5年(1930)から活動を開始して以来90年に及ばんとする歴史をもっています。

農業の発展を支え、食生活を豊かにする応用科学としての農学はこの間の社会的なニーズに対応して、農林水産業の生産性の向上、食品産業の技術革新を軸に、環境、資源、食品安全性、防災などにその領域を拡げました。その結果、日本農学会の加盟学協会は約50を数えるまでになりました。一方、20世紀後半から著しく進歩した分子生物学、生態学、情報科学の手法の意欲的な導入により、それぞれの専門領域ではかつてない深化がみられ、各加盟学協会は新領域に果敢に挑戦しつつ、目を見張る成果を上げてきました。

日本の最高レベルの業績に対し、日本農学会が授与した「日本農学賞」の受賞研究を創設された1925年以降今日まで追ってみれば、その「拡がり」と「深化」を一望することができます。

この拡がりと深化の過程で、生物の発生・進化・獲得形質などの本質的理解や遺伝子・生物・環境などのビッグデータの活用技術などに対する共通的な接近も増えてきました。一方、技術集積型大規模農業経営、地方再生やアグリビジネスの振興、生態系と調和した持続的農業への転換、あるいは食と健康などの課題に対しては農学がもつ社会科学と自然科学の各分野をはじめとして、工学、医学、栄養学などをも含めた「異分野融合科学」が盛んに行われるようになりました。専門間での競争と協力の関係が一層実質的なものになりつつあるのです。

日本農学会は「農学」の領域の学協会を代表する立場で学術・技術・教育・研究に関する国内外との結節点の役割を果たしております。

その中で、時代を動かした業績、時代を変える業績に対し日本農学賞を授与し、農学の成果を世に明示し、さらなる発展のインセンテイブを与えるとともに、社会に対する学術・技術からの発信と広範な専門間の情報交換の場として水準の高いシンポジウムを開催し、成果を書籍として公刊しています。

多くの加盟学協会は2011年3月の東日本大震災に積極的に対応しました。広範な地域の放射能汚染を伴う、世界的にも例のない震災からの復興に対して専門家集団として国民・消費者に正確な情報と理解を提供する役割を果たした面で高く評価されるべきことです。日本農学会は関係学協会の参加を得てワーキンググループを組織し、2011年11月に東日本大震災からの農林水産業の復興に向けて ―被害の認識と理解、復興へのテクニカル リコメンデーション―を策定・公表しました。

いわば日本の農学界を代表する団体として、日本農学会は重要な使命を担っています。その運営責任者に選任され、非力を顧みず微力を尽くす所存であります。

第22代会長 三輪睿太郎